nakahara

宮浜温泉を新しく息吹かせたいと、思ったときにうまれた 宮島離れ宿 IBUKU のコンセプト( 中原一樹 氏 )

広島県廿日市市の宮浜温泉で運営している、宮島離れ宿IBUKU。その支配人である中原一樹さんに、ホテル業に携わった経緯、そして現在運営をしている宿に関するストーリーを伺いました。

 

これまでのお仕事について教えてください。

宮島工業高校情報処理科を卒業後、東京でソフトウェアの会社にプログラマーとして就職しました。もともとパソコンが好きで、高校に入学するとWindows98が出ました。世の中がパソコンで盛り上がっている時代で、今からはこれで食っていくしかないと思って勉強してプログラマーになりました。

入社して3カ月くらいは研修期間で、ソフトウェアを作るノウハウをたたきこまれました。その後現場に入って朝から晩まで仕事をしていました。一度出社したら、帰るのは4,5日後だったりしました(笑)。朝8時くらいに会社に行って、翌朝4時5時まで仕事をして、近くのスーパー銭湯に行って仮眠をとって、コンビニで着替えを買ってまた出社するという生活をずっと繰り返していました。ITが盛り上がっている時代だったので、次々仕事が舞い込んできてエンジニアが足りなかったのです。それで身体がぼろぼろになってしまって…。何も食べられず、胃も悪くなり、病院に行くとドクターストップがかかってしまいました。

 

好きで選んだプログラマーの仕事だったのに、生活が忙殺され、身体も壊してしまったのですね。そのときの心境はいかがでしたか?

会社に、周りの人に迷惑をかけてしまうから、できるだけがんばりたいと思ってやっていたのですが、会社って僕がいなくてもいないなりにまわるものなのだなと思いました。一部の歯車でしかなくて、倒れたらただ取り換えればいいのだなと。だからそんなに気負って考える必要はなかったのです。頑張りすぎることは、なかったのだと思いました。

 

それから広島に戻って来られたのですか?

ソフトウェア開発で身につけたスキルもあったので、東京でやっていけると思ったのですが、また同じことになってしまうかもしれないとも思いました。違うことをやるにしてもビジネスでのつながり以外に知り合いもいなかったので、いったん広島に帰ることにしました。
20歳をすぎたばかりで、他にスキルもなく、なかなか一歩が踏み出せずに悶々とした日々を過ごしていました。何もしないわけにはいかないので、本屋さんや木材の会社、ピザのデリバリーの仕事、実家の父親が電器屋をしていたのでその手伝いなど、何も考えずにその日暮らしみたいな感じで、1か月自分が使う分を稼ぐみたいな働き方をしていました。

 

ホテル業に就いたきっかけを教えて下さい。

7、8年そのような状況で、29歳になったとき、30代、40代と自分はこれからどうなっていくのだろうと急に不安になりました。毎日ひまだったので、インターネットのニュースをよく見ていました。そしたら観光業が今盛況だと、旅行者もこれから増えていくと知って、これはおもしろそうだと思ったのです。

プログラマー時代は接客業とはまったく縁がなかったですけど、アルバイトで接客をやってそれが楽しくって。そしたら宮島コーラルホテルのアルバイトの求人を見つけたのです。そこで1年半アルバイトとして働きました。その後社員にならないかという誘いがあって、社員として3年間、フロント、レストランのホールに立ったり、宴会のサービスや予約の担当をしたりといろいろな経験をさせていただきました。

 

IBUKUの支配人をまかされることになったわけですが、その時の心境をお聞かせください。

僕はフロントでもレストランのホールでも予約の仕事でもどこでも初心者でした。
どうやったらコーラルホテルのためになるかということだけ考えてやっていたので、マネージメントとか施設の運営に関しては素人です。そんな自分を支配人としてまかせて大丈夫なのかと思いました。でも、僕なりに一生懸命やって、もし失敗したらそれは自分のせいじゃないと割り切って、自分なりに頑張ろうと思うことができました。

宮島の離れ宿 IBUKU

 

IBUKUという名前ですが、どんな思いでつけられたのですか?

四季の息吹を存分に感じてもらって、生命力を高めてお帰りいただきたいというのがひとつの大きな思いです。なぜIBUKIではなくてIBUKUなのか。それは私たちがこの宮浜温泉を新しく息吹かせたい、もっと大きく花開かせたいと思ったときに、IBUKIという名詞ではなく、IBUKUという動きを感じさせる呼び方のほうがふさわしいと考えたからです。

 

四季の息吹を感じていただく仕掛けがあるのですか?

本館が2018年7月18日にオープンし、別に離れを作ります。完成が冬から春ごろの予定です。全部で12棟なのですが、部屋ごとに1月の部屋、8月の部屋というふうにテーマを決めて部屋を作りこんでいきます。部屋だけではなくて、お料理もその時々の地元の旬な食材を使って創作会席を作ります。食材の仕入れなど、地元の中山間地域と連携していきたいと思っています。

 

客室のこだわりを教えてください。

入ったらすぐにモダンな雰囲気を感じていただくことができます。黒白基調のコンクリートの打ちっぱなしで、洋風で重厚なイメージのロビーです。
お部屋は一転、木をメインに温もりを感じられる空間を作りました。
廿日市は木の町なので、地元の企業に協力していただいて、床は無垢の木を使い、テーブルもこだわりのあるものを置いています。贅沢な、それでいて本当にくつろげるリビングを意識しているので、家具もソファもその点を重視して選んでいます。深く座ってそのまま動きたくなくなるようなソファにいたまま、グーグルホームで音楽をかけることもできます。

本館には大浴場がありませんが、国内で一番大きなユニットバスを取り入れています。お湯は100%宮浜温泉の源泉かけ流し。これが周辺の施設にはない強みです。大きなお風呂に入りたいお客様には向かいにある系列の「べにまんさくの湯」をご利用いただくことができます。

宮浜温泉の旅館 IBUKU

 

どのようなお客様にご利用いただけると考えていますか?

コンセプトが「大人の隠れ家」なので、40代50代のご夫婦、時間に余裕のある方々が息抜きに来られる場所を目指しています。

 

お客様にきていただくため、具体的にどのようにお考えですか?

新聞や雑誌、地元の観光案内の小冊子などに掲載していただいたり、FMはつかいちに出させていただいたりと、メディアを活用し、またインターネットを介した予約サイトと提携したりなど、IBUKUという宿を近隣県の方に知っていただくことが大切だと考えています。また、これからはIBUKUをご利用いただいたお客様から、発信していただくことも構想として持っています。インスタグラムをはじめとするSNSに力を入れていきたいと思っています。

 

IBUKUをこれからどのようにしていきたいですか?ビジョンを教えてください。

今宮浜温泉に宿泊されるお客様の8割が、宮島観光が目的です。宮島観光のついでにちょっとゆっくりしたいからという理由で、宮浜温泉に宿泊されます。そうではなく、宮浜温泉に行きたいね、そのついでに宮島で観光して帰ろうかというふうになるといいなと思っています。だからこそ、地域の皆様と一緒になって宮浜温泉を目的に来て下さるお客様を増やしたいと考えています。宮浜温泉全体が活気づかないと私たちも儲からないし、幸せになれないし、仕事の楽しさも体験できないと思っています。

 

【 協力 】
IBUKU 支配人 中原一樹 様

HP: https://ibuku.jp/

メッセージを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA