田口裕介

売れる商品はみんなで作り上げる!商品の産みの親でもあるプロダクトデザイナーがこだわるブランディング

雑貨デザインの会社を経て、イタリアに単身でデザイン留学を果たして、今はフリーランスでデザインの仕事をされている 田口裕介さん。今回は、プロダクトプロデュースに関するお仕事の話を御聞きしました。

 

田口さんが、デザイナーとして生きて行くことを決めた経緯をぜひ教えてください。

幼稚園の時に、仮面ノリダーの怪人を絵にすることにハマっていました。その頃から絵が本当に好きで、中学校や高校の時には文化祭などで、自分の描いた絵がポスターとして貼り出されることに、喜びを感じるようになっていきました。そこからデザインの道で生きていくことを決めて、美大に行き、新卒でインテリア雑貨の会社に入社をした経緯があります。

 

以前、会社員をしていた時には、雑貨の商品デザインをするチームの一員として働いていました。具体的な仕事内容としては、例えばクッション、エプロン、テーブルウェアなどを、オリジナルでデザインして、提携している工場(海外を中心)と一緒に開発をしていました。当時の会社にいた時は、作った商品は直営店のみであったため、どんな棚に商品が並ぶかが分かり、どこの地域のお店でこんなスタッフが一生懸命売ってくれていたり、お客様のことを想像しながらデザインや企画をすることが出来るのが凄く良かったです。また、和のブランドショップを総合的に立ち上げた経験が自分の中でとても大きく、日本のものづくりに触れるきっかけとなりました。

 

そして、会社を5年半勤めて、2013年にイタリアに単身渡りました。実際に海外へ渡ることで、デザイナーがフリーランスとして活躍するフィールドが沢山あることに気付きました。だからイタリア中心にヨーロッパでは、とにかく様々な展示会に行って、自己紹介や名刺交換をしていましたね。私は、もともと、個人としてデザイン業をやって生きていきたいと思っていたこともあったので、自分もコミュニケーションを計りながら、仕事をつくり、デザインの分野で大きく挑戦したくなっていったのです。そして、イタリアにいる間にフリーランスになることを決意したのです。

 

単身、海外でフリーランスとは本当に度胸がありますね!ではそんな田口さん手がけている仕事の中で面白い事例をぜひ教えてください。

最初に手がけたのが、プロジェクツウォッチというアメリカの会社と時計を作りました。他にもイタリアの会社と、アクリルの板を使った紙飛行機の形をしたインテリアの小物を作りました。進行中なものも多々あり色々なプロジェクトに携わらせていただきましたが、今大きく関わっているのは、和歌山の繊維業の会社と一緒にオリジナルブランドの立ち上げを進めている企画についてです。もともと、和歌山県の高野山の入り口にある地域、高野口は繊維業が盛んだった地域でもあります。そこでは、国会議事堂の椅子や、阪急電車の柔らかい椅子の生地など、様々な商品を作られております。今治タオルとか、大阪の泉州タオルなどに隠れて、あまり表には出てこないですが、日本の重要な繊維業の産地のの一つです。既存の商品には、天然繊維を使うものが多く、オーガニックのコットンや麻やシルクを使ったボディタオルやフキンなどを製造販売しております。

 

私はその繊維業の会社と一緒に、繊維技術を利用して、ボディタオルと布巾の2アイテムを軸に地域オリジナルブランドを作ろうとしています。このプロジェクトは現在進行中で、2016年11月にリリースする予定で進めています。

 

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※ アメリカのプロジェクツウォッチ社と開発した 時計のデザイン

 

そのプロジェクトをクライアントさんと作るキッカケは何があったのですか?

もともとその会社のリーダーの方とは仕事仲間でした。当時はバイヤーとデザイナーという関係でしたが、実は、その方の夢を沢山聞いていたことがキッカケにあります。

 

一口にボディタオルや布巾と言っても、その会社には、多彩な技術による多種多様な商品があります。基本は表舞台には立ちませんが、会社自体も勿論それは大事なことですし、それがベースにあります。ただ、彼には、新しいものを試し、直接自分たちの商品を買ってくれるお客様(ユーザー)との会話ができる環境をつくりたいという想いがありました。商社さんや雑貨屋さんに商品を納めると、お客様(ユーザー)の声を直接的には聞くことは出来づらいです。ただ、直営の店だと反応を直に聞くことが出来るのです。それが、他のお客様(企業)への新たな提案と自社社員のモチベーションにもつながると確信をされていました。ちょうど、自分がフリーランスとしてやっていくとなったタイミングでもあったので、一緒にオリジナルブランドを作ろうというお話になりました。

 

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非常に興味深いプロジェクトですね!そのオリジナルブランドは、どんなコンセプトで広めていくことを予定しているのですか??

ブランド名は“ KIYOI(清い)”です。コンセプトは『 キレイにすること。それはキレイになること。 』。お部屋を綺麗にする、体を綺麗にする、それは心を豊かにすることにつながると思っています。これを考えるキッカケになったのは、私が海外にいた経験も大きいです。日本人は非常に綺麗好きで、自分以外の人にとってもキレイで清潔な空間・場所にいてもらいたいという意識があります。それが出来るのも、与える側だけでなく受ける側にも気遣いやおもてなしの文化があるからです。私達はこの商品を使ったお部屋と体のケアを通じて、心をさらにスッキリ清らかにするお手伝いをしたい、そんな願いを込めました。

 

この商品の本質は、おもてなし=日本文化 という単純な流行を狙ったものではありません。私は日本文化の本質を、ブランドに変え、商品に変えることで、お客様に伝えていきたいと思っています。

 

原田織物株式会社

 

素晴らしいコンセプトですね。今回、なぜそんな素晴らしいコンセプトを生み出すことが出来たのですか?

もともとこの会社が誇りを持って大事にモノづくりをしてきた歴史と、高野口で働くスタッフの方々と時間を共有したことが出来たからだと思います。私は、実際に2週間住み込みで研修をさせてもらいました。定食屋や宿のおばちゃんとお友達になりました。1月のめちゃくちゃ寒い中でしたが、そこで、商品の検品や出荷をしながら生地に触れ、生地を編む機械や柄を刷るところを手伝ったり、夜は夕食を共にして意見を交換し合うことができました。そうやってスタッフの方と一緒になって実際に働くことで、色々なこだわりや熱意を感じることが出来ました。

 

そんな素晴らしいプロジェクトを進めていくなかで、不安を感じたことはありますか?

とまどう部分があるのは、ここまで好きにやらせてもらっていいのかと思いましたね。コスト面も勿論擦り合わせをしていきますが、決断の比重がかなり自分にあります。比較的自由に自分の案が通る分、緊張感もあります。いくらお客様(企業)とのコミュニケーションがうまくいっても、売れるか売れないかは数字にモロ出てきます。だから不安もあります。世の中には様々なブランドがあるけど、世に生みっぱなしはいけません。商品を生み出す場合は、届ける責任と育てる責任もあるのです。デザイナーはそういった意味で、プレッシャーを感じます。

 

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そんなプレッシャーに打ち勝つ方法はありますか?

やはり、みんなを巻き込むことがなにより大切だと思います。みんなでやっていることで育てていく責任感を共有して、“みんなで作り上げている空気感“をつくることは大事です。ブランドは一人で作るものではありません。チームのみんながドンドンとアイディアを出しながら、ブランドを作る事が大事です。生み出され、使ってくれるお客様も含めてブランドを育てていくことだと思っています。 “みんなが売りたいもの・作りたいものを作る。”私はこれを心がけています。

 

ありがとうございました。最後に、プロデューサーにとって大切なことを教えてください。

自分の場合は、商品は子供のような存在です。その子が世に出た時に、どう育っていくかを、愛情と厳しさを持って考えることが何より大切だと感じています。勿論、厳しい目でもプロジェクトを見て、チームの連携・自分のモチベーションなども含め、色々なものを想像しながらプロデュースを進めていきます。明確なビジョンを立てることも大事ですが、そのレールに乗せていくのではなく、親の気持ちになってこれからも仕事に取り組んでいきたいです。まだ私には実の子供は居ませんが、私にとっては昔描いた“仮面ノリダー”も自分の子供だし、今の仕事たちも大事な我が子です。

『 子供の未来を考えながら、ブランドを育てていく。 』

このインタビューを読んでくれて、これからプロデューサーを目指す方に言えることがあるとしたら、この言葉を胸に、一緒に頑張っていけたらと思います。

 

【 紹介事例 】
原田織物株式会社
http://harada-orimono.co.jp

 

【 協力 】
田口 裕介 (たぐち ゆうすけ)
YUSUKE TAGUCHI DESIGN
http://www.tagutagujp.com

 

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